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劇場版 さよなら銀河鉄道999-アンドロメダ終着駅- [animation]

今回お届けする「animation(アニメ)」は、前回の「劇場版 銀河鉄道999」に続く劇場版第2作目「さよなら銀河鉄道999-アンドロメダ終着駅-」。

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この2作目が公開されたのは1981年・・・そう、「80年代」という熱い時代の幕開けとなった頃。

1972年生まれの自分にとって、1975年~1985年という10年間というのは、とにかく「熱い時代」だったという思い出しかない。


「夢さ・・・若い頃のことは後になってみりゃ,みんな夢みたいなもんだ。」

そんな「老パルチザン」のセリフが聞こえてくるけど、まあいい。


さて、劇場版第1作目の続編となる「さよなら銀鉄道999」だけど、この作品は「製作する必要がなかった」というのが一般的な評価とされている。

映画会社からしてみれば、1作目が当たれば2作目を作りたくなるのは当然のことであり、結果的にこの続編も映画会社が見込んだ興業収益はあげられたみたいなので、そういう意味では「失敗」ではなかったんだけど、確かに「製作する必要があったのか?」と言われると「必要は無かった」と言わざるを得ない。

ストーリーの大筋としては、「機械化帝国の本拠地である「惑星大アンドロメダ」を破壊する」というものなんだけど、これって考えてみれば「1作目」でやってれば良かったんじゃねえの?と疑問を感じてしまう。

なんで1作目の終着駅が「惑星メーテル」だったのか、改めて考えてみると良く分からない。

あと、今回「999号」が停車する駅は、地球→惑星ラーメタル→惑星モザイク→惑星大アンドロメダと3つしかない。

しかも「惑星モザイク」では、幽霊列車イベントしか発生していないので、実質の停車駅は2つしかなかったことになり、今回の2作目は既に「旅」では無くなってしまっている。

そもそも「鉄郎」がどうして「999号」に乗ることになったかと言うと、「メーテルに呼び出されたから」であり、しかも呼び出した当人は「メーテル」ではなく「黒騎士ファウスト」であった訳で、今作における「鉄郎」の目的が曖昧なまま進むストーリーというのが、終始際立ってしまった気がする。

とまあ、粗を探してしまえば、至るところにある訳なんだけど、この続編においては3人のキャラクター(老パルチザン、ミャウダー、黒騎士ファウスト)の存在が際立っており、この作品はこのキャラクター達と鉄郎との絡みが見せ所だったと言っていい。


① 老パルチザン

父親という存在を知らないまま育った鉄郎にとって、ある意味この「老パルチザン」が鉄郎にとっての父親みたいな存在だった気がする。

とは言え、この父親、とにかく厳しい。

「どうした若いの。生きたかったら命ある限り歩け。生き続けたかったら命ある限り闘え。気力を失ったら死ぬぞ。」

最初のセリフからしてこれだし。

しかも「もう歩けません。」という鉄郎に手を貸そうともしない。

自分がまだ幼かった頃は、こんな叔父さんや爺ちゃんが沢山いたような気がする。

そんな一見すると厳しそうに感じ取れる「老パルチザン」だけど、メーテルからのメッセージカードを受け取り、再び「999号」に乗る決意をする鉄郎に対し、これぞ「父親」ととれるセリフがこれ。

「若いってのはいいもんだ。どんな小さな希望にも、自分の全てを賭けることが出来るからな。」

「みんな、わしらの倅が行くというんだ。行かせてやろうじゃないか。」

カッチョええ。

自分達の命を犠牲にして、倅である鉄郎に希望を託す。

マジ、カッチョええよこのセリフ。

しかも「森山周一郎」。


そしてオープニング最大の見せ場は、何と言っても、機械化人に変えられた線路のポイントをすんでのところで元に戻すシーン。

「小さな希望に全てを賭ける若者(倅)を、まさに命を張って送り出す」という名シーン。

ここで車掌さんが、老パルチザンに対して敬礼するという細かい演出があるんだけど、これがまた良い。


「鉄郎、いつかお前が戻ってきて,地球を取り戻したとき,大地を掘り返したら,わしらの赤い血が流れ出すだろう。」

「ここは我々の星だ。我々の大地だ。この赤い血を見るまでは、死ぬなよ・・・わしらの倅よ。」

これが名セリフたる所以ってのは、「老パルチザン」が心の中で呟いたこのセリフがキッチリと鉄郎に伝わっているというところ。

この作品における鉄郎の年齢は18歳になっており、既に少年から青年へと成長している。

青年になったからこそ、自分を「999号」に乗せるため、夢と希望を託してくれた父親達(パルチザン達)の想いが受け止められる訳で、このオープニングシーンだけで、前作から3年が経過したという時間の流れが感じ取れる。


② ミャウダー

この「ミャウダー」の存在ってのは、鉄郎にとって唯一とも言える同世代そして志を同じくする「友人」。

共に過ごした時間は半日程度しか無かったはずなんだけど、その短い時間の中で友情を育んだ訳であり、「慌てるな、鉄郎。機械化人は暗闇でも目が見えるぞ。じっとしていても敵は動く。敵の方から近づいてくる。」というこのアドバイスが、後の「黒騎士」との闘いで大きな意味を持つことになる。

そして「ミャウダー」と言えば、声優「富山敬」の存在。

前作の「トチロー」同様、「富山敬」が声優を担当しているという時点で、このキャラの本作での重要さを物語っている。

そして、本作のキーアイテムの一つは「ミャウダー」の持つ形見のオルゴールペンダント。

この「オルゴール」から流れる「渚のアデリーヌ」・・・このメロディがまた何とも言えず切ない。

とにかくこのメロディを聞くと、幽霊列車の中から聞こえてくるあのシーンが今でも瞬時に蘇る。


「俺より先に死ぬなよ。男の約束だぞ。」

「お前のパンチ効いたぜ。」

このセリフからだけでも、既に鉄郎とミャウダーの間に友情が生まれているのが分かるし、そして結果的にミャウダー(のオルゴール)が、「黒騎士」との最後の闘いで鉄郎を助けたって演出がこれまたニクい。

まあ、一つだけ言わせてもらうと、ミャウダーは何で鉄郎に殴られたのかが全く分からないはず。

何一つ殴られる理由がない。

なのに「お前のパンチ効いたぜ」は、人が良すぎるんじゃないか、ミャウダー・・・。


③ 黒騎士ファウスト

個人的に、今作品の主役はこの「黒騎士ファウスト」だと思っている。

今更だけど、この「ファウスト」の存在ってのは、この当時ブームとなっていた「スターウォーズ」の「ダース・ベイダー」に被せている訳なんだけど、それが分かっていてもこの「ファウスト」の存在というのはこの作品の中で非常に大きい。

鉄郎とファウストが始めて出会うシーンがあるんだけど、このシーンは見所が満載。

「鉄郎」・・・心の中で呟くファウスト。

この時点でのファウストの表情が、いかようにも読み取れる。

「ようやく出会えた自分の息子。自分と同じ、永遠に生きられる機械化人という選択肢を与えてやりたい。」そんな父親としての感情がこの時点ではまだあったはず。

しかし鉄郎から返ってきた反応は、決してファウストが期待したものではなかった。

「俺の体には赤い血が、殺された母さんや親父達と同じ赤い血が流れているんだ。俺は親父達に誓ったんだ。赤い血の染み込んだ大地へ必ず生きて帰るってな。」

「父親に誓っただと?」

「死んでいった爺さんや仲間たちさ。俺のために血を流してくれたんだ。」

「そうか・・・それがお前の父か。」

・・・このやり取りで、父と息子の関係は「決して相容れない」決定的なものとなる。

そしてファウストとしては、鉄郎が「戦士の銃」を所有していること、「機械人と戦う経験値をそれなりに積んできたこと」を自覚し、決して相容れない関係である以上、どちらが退かなければならないことも自覚する。

とは言えやはり父親。

「息子は父親を超える存在になっている」ということを、既にこの時点で自覚していたと感じ取れる。


そして、鉄郎との決着の直前で、かつての同士「ハーロック」と再開するシーンがある。

「鉄郎と最後の決着をつけるときが来た。立ち会ってくれるか。」

「どちらが勝っても手を出さぬと誓ってくれるか。」

「この戦いに勝たない限り,私にも鉄郎にも未来はない。」

「鬼だ。私は人の姿をした鬼だ。」

・・・もう「鬼」そのもの。

だけどこの会話のやり取りが、自分的には「ファウスト」の存在が「ダース・ベイダー」以上の存在となっており、「この戦いに勝たない限り、私にも鉄郎にも未来はない。」と言いながら、既に自分に未来はないことも、そして鉄郎に倒されることも自覚している。

もはや息子である鉄郎と共に歩むという選択肢はない。

だからこその「鬼」。


そして999号上での最後の戦いで、ミャウダーの助けもあり、黒騎士を倒す鉄郎。

この戦いで、ミャウダーのペンダントをなぜファウストが持っていたのかは明らかにされてない。

個人的には、鉄郎に倒されるために持っていたと解釈している。


そしてこの鉄郎との最後の戦いで、ようやくファウストの本心が明かされる。

「強くなったな・・・鉄郎。」

これって、父親が息子に対して吐ける、最もカッコいいセリフだろうな。

自分には子供がいないから吐けないけど。

結局のところ、鉄郎がファウスト=父親であったと示唆するセリフは無かったけど、このシーンのやり取りで、鉄郎は直感したと解釈している。

そしてハーロックに預けてあったペンダントには「妻(加奈江)と息子(鉄郎)」の写真があり、女王プロメシュームに仕える機械化帝国のNo.2でありながらも、最後まで「父親」でもあったファウストの存在が、やはりこの作品における最重要ポジションだったと捉えている。

声優「江守徹」の声も、この役にはピッタリだった。

そんな訳で、この「さよなら銀河鉄道999-アンドロメダ終着駅-」におけるキーキャラは、「老パルチザン」、「ミャウダー」そして「黒騎士ファウスト」であり、このキャラクラー達の存在が鉄郎を青年→大人へと成長させる役割を担っていたと解釈している。

ちなみに、以前紹介した「キャプテンハーロック-次元航海-」では、この「黒騎士ファウスト」はよりクローズアップされて登場している。

ファウストの本名は「星野剛造」となっており、最新刊である第7巻にて、プロトタイプ「000(トリプルゼロ)」と呼ばれる幽霊列車と共に登場する。

とにかくこのファウストは登場するだけで、特別な存在感がある。

そんなファウストが本作品でどのような役割を担うのか非常に興味がある。

まあいい。

さて、そんな訳で今回は3名のキーキャラを中心に自分なりの感想を書いてきた訳だけど、本作品においてどうしても解せないのが「鉄郎とメーテル」の距離感。

「惑星ラーメタル」にて感動の再開を果たしたのも束の間、それ以降この2人には会話ってのがほとんど成立していない。

もともとメーテルは口数が少なかったけど、今作品ではこれまで以上に口数が少なく、更に輪をかけて鉄郎まで口数が少なくなっているため、この2人が会話しているシーンがほとんどない。

「999に乗りなさい」というメッセージを送ったのはメーテルでななく黒騎士だった訳で、メーテルにしてみれば、鉄郎と再び出会うつもりは無かったということになる。

だけど鉄郎が「惑星大アンドロメダ」に着いてしまえば、機械化帝国を破壊することも目に見えている訳で、結局メーテルは、本作にて何をしたかったのかがイマイチ分からない。

メッセージを送ったのがメーテル本人であれば、逆に納得出来るんだけど。

とは言え、メーテルとしては「惑星ラーメタル」で鉄郎と再開すると決意した時点で、既に「機械化帝国の滅亡」という結末が見えていたことになる訳で、結局のところ「メーテルの旅の終焉」は鉄郎が導いたということになる。

あと、メーテルが「機械化帝国の女王」になった理由だけど、これは「命の灯を製造する工場」に入る権限を得るためだったと解釈している。

「機械化帝国を支えているのは、実は人間の命」であることを鉄郎が知れば、結果は言うまでもない。

って言うか、そんな恐ろしい事実、今まで隠してたのかよ。

そこに偶然とは言え「サイレンの魔女」までやって来て、今度こそ機械化帝国は滅亡することになった。

まあこれは自業自得と言うべきか。


メーテル視点で捉えると、この作品は「機械化帝国の真の滅亡」→「女王プロメシュームの旅の終わり」→「メーテルの旅の終わり」と連鎖する訳で、結局のところこの「銀河鉄道999」という作品は「999号と共に旅したメーテルの物語」であった訳であり、この作品をもって本当の意味で「メーテルの旅の終焉」が訪れたと解釈している。

だからこそ、本作品のタイトルは「さよなら銀河鉄道999」であり、エンディングテーマも「SAYONARA」なんじゃないかと思う。

なので個人的には、劇場版1作目とこの続編を比較して評価するのでなく、両作を通じて「メーテルの旅の終焉」となる1本の作品、と捉えるのが正解じゃないかって思う。


ちなみに劇場版3作目となる「エターナル・ファンタジー」は、この「さよなら~」の続編ではなく、原作版の続編となっているので要注意。

更に言えば興業収益が低かったため、この「エターナル・ファンタジー」の続編は製作が中止されてしまったため、まだ観ていないのであれば観ない方が良い。


そんな訳でこの「銀河鉄道999」という「メーテルの物語」は、「劇場版1作目&2作目」、「メーテルレジェンド」そして「宇宙交響詩メーテル」を観ることで完結する。

この「メーテルの物語」とは違った視点で、「銀河鉄道999」ワールドを楽しみたいのであれば、前述した「キャプテンハーロック-次元航海-」を読むのがオススメ。

あくまで「ハーロック視点」でのストーリーだけど、「銀河鉄道999」ファンであれば十分納得出来る展開になっているので、これは読んでおいて損はない。


そんな訳で、計3回に渡ってお届けしてきた「銀河鉄道999」ネタは今回で終了。

どれもが今から35年以上も昔の作品だけど、ハッキリ言ってどこもこれも未だに色褪せない名作。

ちなみに「エターナル・ファンタジー」は紹介する価値がない作品なので紹介しない。


さて今後は何を紹介していこうか。

「重戦記エルガイム」、「ゼーガペイン」、「ビッグオー」、「ジャイアントロボ-地球が静止する日-」などなど紹介したいアニメネタはたんまりある。

次回は何が飛び出すか。


ではまた次回をお楽しみに。
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